日亜対訳クルアーン写経ブログ

(出典元) 中田孝[監修]・中田香織・下村佳州紀[訳]『日亜対訳 クルアーン [付] 訳解と正統十読誦注解』、松山祥平[著・訳]「クルアーン正統十読誦注解」、黎明イスラーム学術・文化振興会[責任編集]、作品社、2014

雌牛(1〜5)

 マディーナ垂示
 ムーサー(モーセ)がイスラーイール(イスラエル)の民に雌牛の犠牲を命じたエピソード(67−71節)に因んで「雌牛」章と名づけられる。
 人間が、アッラーを畏れる信仰者、忘恩の不信仰者、信仰者を装った背信の偽信者の三種の範疇に分かれることが冒頭で述べられ、続いて第30−141章で、アーダム(アダム)、ムーサー、イーサー(イエス)、スライマーン(ソロモン)、イブラーヒーム(アブラハム)とその二人の息子イスマーイール(イシュマエル)、イスハーク(イサク)、イスハークの息子ヤアクーブ(ヤコブ)ら預言者の逸話が語られる。
 その後、第142節以下、礼拝の方角(キブラ)、食物禁忌、浄財、斎戒断食、遺言、偽証、異教徒との戦争、殺人傷害の同害報復計、(大小)巡礼、酒と賭博の禁止、孤児の養育、異教徒との結婚、生理(月経)、離婚、授乳、待婚期間、戦時の礼拝などの法規定が列挙された後、第246−260節ではタールード(サウル)、ダーウード(ダビデ)、イーサー、イブラーヒームの物語が述べられ、途中、永生自存の全知全能のアッラーの属性と主権を簡潔に示し、「クルアーンの節の長」と呼ばれる「玉座」節(第255節)と「宗教に強制なし」(第256節)との原則が挿入されている。
 第261節以下では、施しの勧めと利子の禁止、証人、文書、担保などによる商取引の契約などの法規定が示され、倫理の基本原則を示す祈りの句(第286節)で終わる。






 慈悲あまねく慈悲深きアッラーの御名において



 アリフ・ラーム・ミーム(2:1)



 それなる経典は、それになんの懸念もない、畏れ身を守る者たちへの導きである。(2:2)



 (それらは)隠されたものを信じ、礼拝を遵守し、われらが糧として与えたものから(善に)費やす者たち。(2:3)



 そして(それらは)おまえに下されたものとおまえ以前に下されたものを信ずる者たちであり、そして来世を彼らは確信する。(2:4)



 それらの者は彼らの主からの導きの上にあり、それらの者こそ成功者である。(2:5)