日亜対訳クルアーン写経ブログ

(出典元) 中田孝[監修]・中田香織・下村佳州紀[訳]『日亜対訳 クルアーン [付] 訳解と正統十読誦注解』、松山祥平[著・訳]「クルアーン正統十読誦注解」、黎明イスラーム学術・文化振興会[責任編集]、作品社、2014

雌牛(246〜248)

 


 おまえはムーサーのあとのイスラーイールの子孫の長老たちを見なかったか。彼らが彼らの預言者に、「われらに王を遣わしてくれ。我らはアッラーの道において戦う」と言った時のこと。彼は言った。「おそらくおまえたちは、戦いがおまえたちに課せれても、戦わないのではないか」。彼らは言った。「どうしてわれらがアッラーの道において戦わないことがあろうか。われらはわれらの家と子供たちから引き離されたというのに」。ところが、戦いが彼らに課されると、彼らのうち少数を除き背き去った。そしてアッラーは不正な者たちをよく知り給う。(2:246)



 そして彼らの預言者は彼らに言った。「アッラーはおまえたちにタールート(サウル)を王として遣わし給うた」。彼らは言った。「どうして彼にわれらの上に立つ王権が与えられるのか。われらは彼よりも王権にふさわしい。一方、彼は財産も豊かに授かっていない」。彼は言った。「アッラーは彼をおまえたちの上に選び、彼の知識と身体を豊かに増し給うたのである。そしてアッラーは、御望みの者に彼の王権を授け給う。そしてアッラーは広大にして、よく知り給う御方」。(2:247)



 また彼らの預言者は彼らに言った。「彼(タールート)の王権の徴は、おまえたちに櫃がもたらされることである。その中にはお前たちの主からの静謐とムーサーの一族とハールーンの一族が残した遺品があり、天使たちがそれを運ぶ。まことにそこにはおまえたちへの徴がある、もしおまえたちが信仰者であるならば」。(2:248)

雌牛(238〜245)

 諸礼拝と中間の礼拝を守れ。そして(礼拝時は)アッラーに対して従順に立て。(2:238)



 それでもしおまえたちが恐れるならば、徒歩のまま、または騎乗のまま。そして安全になったらアッラーを念じよ。おまえたちが知らなかったことを彼がおまえたちに教え給うたとおりに。(2:239)



 おまえたちのうち妻を残して魂を召される者たちは、妻たちへの遺言を、そして追い出すことなく一年までの慰楽(扶養)を。それでもし彼女が家を出たなら、彼女らが良識に従って自分たちのためになしたことについておまえたちに罪はない。そしてアッラーは威力比類なく、英明な御方。(2:240)



 そして離婚された女性には良識に従った慰楽(扶養)がある。畏れ身を守る者の義務として。(2:241)



 こうしてアッラーはおまえたち彼の諸々の徴を明らかにし給うた。きっとおまえたちも理解するであろう。(2:242)



 おまえは数千人に及ぶ、死を恐れて自分の家を出て行った者たちを見なかったか。アッラーは彼らに、「死ね」と仰せられ、それから彼らを生き返らせ給うた。まことにアッラーは人々に対する御恵みの持ち主。だが、人々の大半は感謝しない。(2:243)



 そしてアッラーの道において戦え。そしてアッラーがよく聞きよく知り給う御方と知れ。(2:244)



 アッラーに良い債権を貸し付ける者はだれか。それで彼はその者のためにそれを倍加し、数倍にもなし給う。アッラーは締め付け給い、また広げ給う。そしておまえたちは彼の許に帰らされるのである。(2:245)

雌牛(233〜237)

 そして母親たちは子供たちに満二年授乳をする(必要がある)。授乳を全うすることを望む者に関する(規定である)。そして父親には彼女たちの糧と衣服が良識に従って課せられる。人は自分の器量以上には(重荷を)課せられない。母親は子のことで苦しめられることはなく、父親もまた、(苦しめられることは)ない。また、相続人にも同じ者が課せられる。それで二人が協議の上で互いに納得してのことなら、離乳を望んでも、二人には罪はない。また、おまえたちが子供たちに乳母をつけても、良識に従って提示したものを渡すならば、おまえたちの罪にはならない。そしてアッラーを畏れ身を守り、アッラーがおまえたちのなすことを見通し給う御方であることを知れ。(2:233)



 またおまえたちのうちで妻を残して魂を召される者があれば、彼女たちは四ヶ月と十日を独りで待つ。それでその期間に達したなら、彼女たちが自分の身(のふりかた)を良識に従って処理しても、おまえたちに罪はない。そしてアッラーはおまえたちのなすことに通暁し給う御方。(2:234)



 またそうした女性に求婚をほのめかしても、あるいは心のうちに秘めても、おまえたちの罪にはならない。アッラーはおまえたちがいずれ彼女たちのことを考えるであろうことを知り給う。ただし、彼女たちには良識従った言葉を話すほか、密かに約束を交わしてはならない。また、定め(の待婚期間)がその満期に達するまで結婚の約束を決めてはならない。そしてアッラーがお前たちの心にあることを知っておられることを知って彼に警戒せよ。また、アッラーがよく赦し給う寛容な御方であると知れ。(2:235)



 おまえたちが女性と、定めのもの(婚資)を定めないうち、あるいは彼女らに触れないうちに離婚してもおまえたちに罪はない。そして豊かな者はその分に応じて、また乏しい者もその分に応じて良識に則って慰楽を彼女らに享受させよ。至誠の者へ(課せられた)義務としての。(2:236)



 彼女たちに触れる前であっても、すでに定めのもの(婚資)を定めていた時は、定めたものの半分である。ただし、彼女たちか結婚契約を手中にする者がそれを免じた場合は別である。免じる方がより敬虔に近い。おまえたちの相互の寛容を忘れてはならない。まことにアッラーはおまえたちのなすことを見通し給う御方。(2:237)




 

雌牛(229〜232)

 


 離婚は二度である。それから良識をもって引き留めるか、心尽くしをもって去らせるかである。おまえたちが彼女たちに与えたものからなにかを取り戻すことは許されない。ただし、彼ら二人が自分たちがアッラーの諸法度に則ることができないことを恐れる場合は別で、もしお前たちが彼ら二人がアッラーの諸法度に則ることができないことを恐れる場合は彼女が贖ったものは彼ら二人にとって罪ではない。これがアッラーの諸法度である。それゆえ、それを超えてはならない。アッラーの諸法度を超える者、それらの者こそ不正者である。(2:229)



 それで彼が彼女を離婚したなら、その後は、彼女が彼以外の夫と結婚するまで彼には彼女(との復縁)は許されない。それでもし彼(前妻が再婚した相手)が彼女を離婚したなら、二人がアッラーの諸法度に則ることができると考えて復縁することに二人への罪はない。そしてこれがアッラーの諸法度で、彼はそれを知る者たちに明示し給う。(2:230)



 そしておまえたちが妻たちを離婚して彼女らの(待婚)期間が経過したなら、良識をもって彼女を引き留めるか、良識をもって彼女を去らせよ。そして無法をはたらいて害を与えるために彼女らを引き留めてはならない。そしてそのようなことを行う者は、自らに対して不正を働いたのである。またアッラーの諸々の徴を愚弄してはならない。そしてアッラーのおまえたちへの恩寵と、下し給うた啓典と英知を、彼がおまえたちにそれを諭したのを、思い起こせ。そしてアッラーを畏れ身を守れ。そしてアッラーがすべてのものごとを知り給う御方であると知れ。(2:231)



 そしておまえたちが妻たちを離婚して彼女らの(待婚)期間が経過した場合。もし彼らが良識を持って互いに同意しているなら、彼女らが彼女らの夫と結婚することを妨害してはならない。それがおまえたちの中でアッラーと最後の日を信じている者に訓戒されたことである。それがおまえたちにはより清くより清浄である。そしてアッラーは知り給うが、おまえたちは知らないのである。(2:232)

雌牛(224〜228)


 そして、アッラーを口実にしてはならない。善をなし、畏れ身を守り、人々の間を取りもつ(ことをしない)というお前たちの誓約のための。そしてアッラーはよく聞きよく知り給う御方。(2:224)



 アッラーはおまえたちの誓約における軽はずみに対してはお前たちの責任を問い給わないが、おまえたちの心が意図したものについておまえたちの責任を問い給う。そしてアッラーはよく赦し給う寛容なる御方。(2:225)



 妻からの絶縁を誓った者たちには4ヶ月の猶予がある。それでもしおまえが復縁すれば、アッラーはよく赦し給う慈悲深い御方。(2:226)



 それでもしおまえが離婚を決意したなら、アッラーはよく聞きよく知り給う御方。(2:227)



 また離婚を宣告された女は独りで三回の月経を待つ。そしてアッラーが彼女らの子宮に創り給うたものを隠すことは彼女たちには許されない、もし彼女たちがアッラーと最後の日を信じるならば。そして彼女たちの主人(夫)には、彼らが和解を望めば、その間に彼女たちを取り戻す一層の権利がある。そして彼女たちには彼女たちに良識により課せれたのと同じものがあるが、男性には彼女たちより一位階がある。そしてアッラーは威力比類なく、英明なる御方。(2:228)

雌牛(219〜223)


 彼らは酒と掛け矢についておまえに問う。言え、「その二つには大きな罪と人々への益があるが、両者の罪は両者の益よりも大きい」。また彼らは、なにを(善に)費やすべきかとおまえに問う。言え、「余分なものを」と。こうしてアッラーはおまえたちに諸々の徴を明らかにし給う。きっとおまえたちは考えるであろう。(2:219)



 現世と来世について。また、彼らは孤児たちについておまえに問う。言え、「彼らのために善処することはより良いことである。またもしおまえたちが彼らと混ざり合うなら、それならおまえたちの兄弟である」。そしてアッラーは悪用者と善用者を見分け給う。またもし彼が望み給うたならば、おまえたちに困難を課し給うたであろう。まことにアッラーは威力比類なく英明なる御方。(2:220)



 また多神教徒の女性たちとは彼女たちが信仰するまで結婚してはならない。そして信仰ある女奴隷の方が多神教徒の女性よりも確かに良い、たとえ彼女をおまえたちが気に入ったとしても。また、多神教徒の男性たちとは彼らが信仰するまで結婚させてはならない。そして信仰ある奴隷のほうが多神教徒の男性よりも確かに良い、たとえ彼をおまえたちが気に入ったとしても。それらの者は極火へと招く。アッラーは楽園と赦しへと彼の御許可によって招き給う。そして、彼は人々に彼の諸々の徴を明かし給う。きっと彼らは留意するであろう。(2:221)



 また彼らは月経についておまえに問う。言え、「それは障りである。それゆえ、月経の際には妻たちから遠ざかり、彼女たちが清まるまで近づいてはならない」。彼女たちが身を清めたら、アッラーが命じ給うところから彼女たちに赴け。まことにアッラーは悔いて戻る者たちを愛し、身を清める者たちを愛し給う。(2:222)



 おまえたちの妻はおまえたちの畑である。それゆえ、いかようにおまえたちの望むままに畑に赴け。そしておまえたち自身のために(善行を)前もってなしておけ、そしてアッラーを畏れ身を守り、彼にまみえることを知れ。そして信仰者たちに吉報を伝えよ。(2:223)

雌牛(216〜218)

 


 おまえたちには戦いが書き定められた、おまえたちにとっては嫌なものであろうが。だがおまえたちはなにかを、おまえたちにとって良いことでありながらも嫌うかもしれない。そしてアッラーは知り給うが、おまえたちは知らない。(2:216)



 彼らはおまえに、聖月について、その間の戦闘について問う。言え、「その間の戦闘は重大(な罪)である。だが、アッラーの道の妨害と、彼への不信仰、禁裏モスク(の妨害)と、その住民をそこから追い出すことはアッラーの御許においては一層重大である。そしてフィトナは戦闘よりも重大(な罪)である。そして彼らはできることならば、おまえたちをおまえたちの宗教から背かせるまでは、おまえたちとの戦闘を止めない。そしておまえたちのうちその宗教から背き、不信仰者として死ぬ者がいれば、それらの者はその行いが現世でも来世でも無駄となる。そしてそれらの者は極火の住人であり、彼らはそこに永遠に住まう」。(2:217)



 まことに信仰する者、そして移住し、アッラーの道で奮闘する者、それらの者はアッラーの慈悲を望む。そしてアッラーはよく赦し給う慈悲深い御方。(2:218)